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March 2016 Archives

浮世絵通信by秋華洞 15号

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こんにちは。浮世絵担当の山田です。
昨日は立春、暦の上では春になりました。
春の光は感じられますが、まだまだ朝晩厳しい寒さ、
来週も東京では雪の予想が出ています。
インフルエンザもはやっているようなので、お気をつけください。

今月のラインナップ
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特集: 江戸から東京へ
新入荷作品: 広重、巴水など
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本日から浮世絵の展覧会「江戸から東京へ~広重・清親を中心に~」がスタートしました。
浮世絵はその時代の風俗や風景を描きだしています。
江戸から東京へその呼び名が変わる歴史の流れの中で、人々の暮らしや風景はどう変わっていったのでしょうか?
「上野」「両国」「芝」など街ごとに「江戸」、「東京」の浮世絵で見ていく展覧会です。
「江戸から東京へ~広重・清親を中心に~」
2016年2月5日(金)~15日(月) 会期中無休 入場無料 展示販売いたします。
http://www.syukado.jp/feature/2016/02/edo-tokyo.html

例えば、「上野」は昇亭北寿の作品を展示しています。
北寿「東叡山麓不忍池弁財天図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-89-440/Hokuju/Benzaiten-Shrine-of-Shinobazu-Pond
昇亭北寿は北斎の門人。当時から「浮絵」上手といわれ、西洋画のような奥行きのある描き方を得意とし、
この浮世絵にもあるようにキュビズムを思い起こさせるような作風のものもあります。
ちなみに不忍池についてですが、寛永寺の開祖である慈眼大師・天海は、
不忍池を琵琶湖に見立て、さらに竹生島になぞらえ弁天島を築かせ、
そこに弁天堂を作ったそうです。
明治の「上野」では清親の作品を展示しています。
小林清親 「池の端花火」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-356/Kobayashi-Kiyochika/Fireworks-at-Ikenohata

そして、「芝」は同じく増上寺をえがいた広重、巴水の作品を展示しています。
広重 「名所江戸百景 増上寺塔赤羽根」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-038/Hiroshige/One-Hundred-Famous-Views-of-Edo--The-Pagoda-of-Zojoji-Temple-at-Akabane
川瀬巴水 「芝増上寺」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-181/Kawase-Hasui/Snow-at-Zojoji-Temple--Shiba
江戸城の鬼門封じとして置かれた上野寛永寺に対し、裏鬼門に配されたのが芝の増上寺です。
寛永寺の五重塔は現在も上野動物園内で見ることができますが、
増上寺の五重塔は戦災によって焼失してしまいました。いずれも在りし日の姿を偲ばせる作品です。
巴水の作品は東京二十景の中の一枚。建物の赤と雪の白のコントラストが美しい、関東大震災後の巴水の代表作です。
震災後は都市の近代化が進んでいき、その様子を描くことがこのシリーズのコンセプトだったのですが、
蓋を開けてみると圧倒的に人気を集めたのがこの江戸情緒あふれる芝増上寺の姿。
巴水の作品の中では1番多く、3000部摺られたといわれています。
実際にこうした江戸情緒を客は求めていたとも言え、この作品後、同様の画風の作品が多く制作されました。

この他、雪景色や隅田川界隈などテーマごとに展示しています。
昨年からブームになっている清親の光線画も展示していますので、ぜひお越しください。


■ 新入荷作品 ■
浮世絵の新着作品をご紹介します。
広重「六十余州名所図会 隠岐 焚火の社」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-040-02/Hiroshige/Famous-Views-of-the-60-odd-Provinces--Oki
広重 「蘆に都鳥 短冊」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-032-01/Hiroshige/Reeds-and-Black-headed-Gulls
国芳「准漢舩遊び」
貞房 「東都両国夕涼ミ図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-005/Sadafusa/Firewoks-at-Ryogoku-Bridge
芳艶 「本朝武者鏡 二位の尼」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-025/Yoshitsuya/Mirror-of-Warriors-of-Japan--Taira-no-Tokiko
川瀬巴水 「三宝寺池(石神井)」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-027/Kawase-Hasui/Sampoji-Pond-of-Shakujii-in-Nerima
つひの雛型(北斎)(3図)、すゑ都無花(2図)ほか
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-049//Tsui-no-Hinagata--Suetsumuhana-and-more
この他にも新着作品、多数入荷しています。サイトは毎日更新していますので、
ぜひ、チェックしてみてください!
http://jp.japanese-finearts.com/index.php

■この展覧会に行ってみたい!■
「太田記念美術館」がリニューアルオープンしました。
「生誕290年記念 勝川春章 -北斎誕生の系譜」
2月2日(火)~3月27日(日)
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H280203kastsukawashunsho.html
浮世絵の専門美術館、しかも原宿という立地で外国人のかたも多く訪れる美術館です。
畳にあがって展示を観るコーナーもあって寛げます。
リニューアル後の第一弾は葛飾北斎が若いころ門を叩き、浮世絵師として世に出るきっかけとなった「勝川春章」の展覧会です。


■ 今月の役者絵 ■
秋華洞は歌舞伎座から一番近い浮世絵商。
役者絵の在庫の中からおすすめの役者絵をピックアップしてご紹介します。
10年ぶりの日本人力士優勝で沸いた大相撲1月場所。今回は力士が描かれた浮世絵です。
国貞二代「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-009/Kunisada-II/Yakusha-e
濡髪長五郎(ぬれがみ ちょうごろう)と放駒長吉(はなれごま ちょうきち)という二人の力士が描かれています。「長」が付く名前がふたりいるので、「双蝶々(ふたつちょうちょう)」というタイトルがついているのです。

【編集後記】
今月は現在開催中の「江戸から東京へ」と猫の作品を一堂に集めて展示する「猫れくしょん」(2/22~2/26)と2本の展覧会を実施します。
猫の展覧会は開催を決めたとたん、猫の作品が秋華洞に集まり出す・・・という不思議なこと?が起こっています。
猫好きでおなじみの国芳のほか、芳藤の可愛いおもちゃ絵、芳年、清親、藤田嗣治、
池永康晟(参考作品)などさまざまな絵師・作家の猫を展示いたします。
ギャラリーで皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

浮世絵担当 山田亜紀子
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浮世絵ぎゃらりい秋華洞
http://jp.japanese-finearts.com/
株式会社秋華洞
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F
TEL 03-3569-3620 FAX 03-3569-3621
E-mail info@syukado.jp
営業時間
平日  10:00~18:00
日・祝 11:00~18:00

秋華洞スタッフブログ
http://www.aojc.co.jp/staff_blog/
*おんらいんぎゃらりい秋華洞(日本画のコンテンツ満載です)
http://www.syukado.jp
*Facebook
http://www.facebook.com/Shukado.Japan.Art


浮世絵通信by秋華洞 14号

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明けましておめでとうございます。
浮世絵担当の山田です。
今年も浮世絵にまつわるエピソードや展覧会情報をご紹介していきますので、
どうぞよろしくお願いします。

今月のラインナップ
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特集: 雪景色の浮世絵あれこれ
新入荷作品:北斎、広重、巴水など 
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今年は暖冬と思いきや、東京地方、今週はいきなり積雪でのスタートになりました。
そこで、「雪景色」の浮世絵を集めてみました。

広重晩年の傑作からは雪の白さがまぶしいこちら。
広重「名所江戸百景 日本橋雪晴」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-469/Hiroshige/One-Hundred-Famous-Views-of-Edo--Clearing-after-Snow
シリーズ1景目をかざるこちらの作品は富士山、朝日、江戸城も描かれ、
エネルギーに満ち溢れた作品です。
橋の上には東海道を上ろうとする大名行列が。

英泉との共作の街道物からはこの作品。
広重 「木曽街道六拾九次之内 大井」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-89-168/Hiroshige/Sixty-nine-Stations-of-Kiso-Kaido--Oi
描かれているのは甚平坂付近。右手の松の木の後方の山は恵那山。
左の手前は笠置山でその奥に木曽の山々が見えます。
日が暮れ、しんしんと雪が降る中、先を急ぐ人々。
降る雪の表現に胡粉や鉛白を使っていたそうです。

なんだか寒さより、あったかさを感じさせる雪景色はこちら。
広重二代「名所江戸百景 びくにはし雪中」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-011/Hiroshige-II/One-Hundred-Famous-Views-of-Edo--Bikuni-Bridge-in-Snow
まず、左手にある大きい看板「山くじら」。
これは猪の肉のことで、鍋にして出していたそうです。
そして、右手にある店は○やき、十三里と看板があるのは、焼き芋屋。
芋を切ると丸型になり、
味は栗(九里)より(四里)うまいということで、
九里と四里を合わすと「十三里」という洒落なのです。
さらに、天秤で箱をかついでいるのは「おでん屋」とか。
なんとなく人が集まってきそうな暖かい雰囲気。
冷たい雪も暖かい冬の味覚を味わう演出?
こちらも広重二代の雪の名品。
広重二代 「東都三十六景 霞ヶ関雪中」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-034-02/Hiroshige-II/Thirty-six-Views-of-Eastern-Capital--Kasumigaseki-in-Snow
広重二代 東都三十六景 湯しま天神
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-91-034-01/Hiroshige-II/Thirty-six-Views-of-Eastern-Capital--Yushima-Shrine

雪といえば、川瀬巴水も多く描いています。
中でも有名なのが、
川瀬巴水「芝増上寺」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-583/Kawase-Hasui/Snow-at-Zojoji-Temple--Shiba
巴水の作品の中でも一番多く、3000枚は売れたとも言われる人気作。
雪の白と増上寺の赤のコントラストが絶妙です。
雪景色は巴水の作品の中でも人気モチーフ、このほかにも沢山あります。
「冨士乃雪晴(田子乃浦)」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-395-02/Kawase-Hasui/Mt.-Fuji-in-the-Snow
「神戸長田神社(八雲橋)」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-395-01/Kawase-Hasui/Nagata-Shrine-in-Kobe

「雪乃向島」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-434/Kawase-Hasui/Mukojima-in-the-Snow
こうやって色々見ていると「雪景色」と一言で言ってもさまざまな表情があることが分かります。

■ 新入荷作品 ■
浮世絵の新着作品をご紹介します。
北斎「仮名手本忠臣蔵 十一段」
  「東海道五十三次 吉原」
広重「京都名所之内 嶋原出口之柳」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-561/Hiroshige/Famous-Views-of-Kyoto--Willow-of-Shimabara
広重「東海道五十三次之内 宮」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-577/Hiroshige/Fifty-three-Stations-of-the-Tokaido--Miya
広重「名所江戸百景 日本橋江戸ばし」
広重「六十余州名所図会 隠岐 焚火の社」
国芳「義経十九臣」
貞房「東都両国夕涼ミ図」
芳年「勇の寿 河原崎権十郎」
  「月百姿 烟中月」
  「本朝武者鏡 二位の尼」
巴水「根津権現の雪」
  「木場の雪」
  「井之頭の春の夜」
この他にも新着作品、多数入荷しています。サイトは毎日更新していますので、
ぜひ、チェックしてみてください!
http://jp.japanese-finearts.com/index.php


これは新着作品のごく一部です。浮世絵ぎゃらりい秋華洞では新着作品を毎日アップ!
ぜひ、ご覧ください。
http://jp.japanese-finearts.com/index.php

■この展覧会に行ってみたい!■
さて、今回は秋華洞の展覧会をご紹介します。
江戸から東京へ~広重・清親を中心に~
2016年2月5日(金)~15日(月) 会期中無休 
場所:ぎゃらりい秋華洞
※ 展示・販売いたします。
http://www.syukado.jp/feature/2016/02/edo-tokyo.html
浮世絵はその時代の風俗や風景を描きだしています。
江戸から東京へその呼び名が変わる歴史の流れの中で、
人々の暮らしや風景はどう変わっていったのでしょうか?
「上野」「両国」「芝」など街ごとに「江戸」、「東京」の浮世絵で見ていきます。

■ 今月の役者絵 ■
秋華洞は歌舞伎座から一番近い浮世絵商。
役者絵の在庫の中からおすすめの役者絵をピックアップしてご紹介します。

三代豊国(国貞)「日本駄右衛門 澤むら訥升」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-241/Toyokuni-III-(Kunisada)/Yakusha-e--Nippon-Daemon
羽子板に描かれたお正月らしい図柄です。
日本駄右衛門は今月国立劇場で上演中の「小春穏沖津白浪―小狐礼三―」、新橋演舞場で上演中の「白浪五人男」の登場人物で、大盗賊なのです。

【編集後記】
新春、1本目のメルマガをお届けしました。
浮世絵の展覧会については2月に風景画の展覧会を予定していますが、
そのほかにも色々なテーマで開催したいと思います!ぜひお楽しみに。

浮世絵担当 山田亜紀子
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浮世絵ぎゃらりい秋華洞
http://jp.japanese-finearts.com/
株式会社秋華洞
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浮世絵通信by秋華洞 16号

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